腎臓病とは
腎臓病は、腎臓の糸球体や尿細管が冒されることで、腎臓の働きが悪くなる病気で、さまざまな種類があり、それぞれ原因や症状も異なります。
腎臓の機能はいちど失われると、回復することが難しく多くは慢性腎不全といわれる病態になります(急性腎不全の場合は機能が回復することもあります)。しかし、最近では医療技術が進歩し、早期に治療を開始すれば、腎臓の機能の低下を防いだり、遅らせたりすることが可能になりました。
また、末期腎不全まで進行し、腎機能の回復が見込めない状態になっても、透析療法や移植といった腎代替療法の中でもさらに治療法の選択肢が増えています。
腎臓病が進行して腎臓の働きが弱くなると腎不全といわれる状態になります。腎不全には、急激に腎臓の機能が低下する急性腎不全と、数か月から数十年の長い年月をかけて腎臓の働きがゆっくりと悪くなる慢性腎不全があります。
急性腎不全
急性腎不全では、適切な治療を行って腎臓の機能を悪化させた原因を取り除くことができれば、腎臓の機能が回復する可能性があり、入院治療を受けることになります。一方、慢性腎不全では、腎不全の進行に伴って腎臓の機能が徐々に失われ、失われた腎機能が回復する見込みはほとんどありません。
急性腎不全では通常、尿の出が悪くなったり、全く出なくなったりします。
慢性腎不全では腎機能の低下の程度が軽い間はほとんど症状がありませんが、腎機能がかなり低下してくると尿の量が増える(特に夜間)、目のまわりや足のむくみ、疲れやすい、食欲がない、息切れがする、皮膚がかゆいなどの症状が出てきます。
慢性腎不全
慢性腎不全で体内に尿毒素や余分な水分が蓄積し、尿毒症状が出ているものの、透析を受けなくてもよい状態を腎不全保存期といいます。この時期は、降圧薬による血圧管理、塩分と水分の制限によって余分な水分の蓄積を防ぎ、タンパク質・リン・カリウムの摂取制限とエネルギーの十分な摂取などの食事療法、症状に応じた薬剤の投与などによって腎不全の進行を遅らせることができます。
末期腎不全
腎不全保存期の治療にもかかわらず、腎機能の低下が進行した状態が末期腎不全です。末期腎不全(透析期)では尿毒症の症状が強くなるため、体内にたまった老廃物を除去するためになんらかの腎代替療法が必要となってきます。末期腎不全では、対症療法として人工透析療法(腹膜透析や血液透析)、根治療法として腎臓移植(献腎移植や生体腎移植)があります。